関門トンネルには、なぜ自動料金収受システム(ETC)がないのか-。北九州市と山口県下関市を新たに結ぶ「下関北九州道路」建設に向けた関係自治体による住民アンケートで、こんな疑問が寄せられた。西日本高速道路(NEXCO西日本)は「料金所で停止することで車両間隔を保ち、事故防止につながる」と説明するが、識者からは改善を求める声も出ている。
昨年11月のアンケートでは、現在ある関門トンネルや関門橋の問題点も聞いた。自由記入欄には「ETC化すれば(入り口付近の)混雑が緩和するのでは」との意見が12件(全記入数は223件)あった。
1958年に完成した関門トンネル(普通車150円)は全長3461メートル、1日の交通量は約2万8千台。北九州市門司区・下関市側とも、一般道から接続する入り口に二つの料金所(2レーン)があり、片側1車線のトンネルへ向けて車線が集約される。
同社九州支社はETC未設置の“効果”として、料金精算の一時停止でトンネルへの車両の流入量を抑制できると指摘。「1車線に絞られるトンネル前での事故防止になる」とする。
また、トンネルは海峡の底部に向かって下った後、上り坂になる。上り坂では無意識に速度が落ちて後続車との距離が縮まりやすく、流入量を減らすことが安全管理上、重要だと強調する。「トンネル内は1車線。小さな事故でも通行止めに直結する」と話す。
ただ、ETCの有無で「流入量に差が生じるかのデータはない」という。
下関市立大の杉浦勝章准教授(地域政策)は、同社の説明に理解を示す一方で「スマートインターチェンジ(IC)が採用する一時停止型のETC導入や、トンネル入り口付近の道路環境の整備で、混雑緩和につながるのではないか」と提案する。
西日本新聞社
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